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沢木耕太郎の小説「深夜特急」が面白い!

沢木耕太郎氏によって書かれた小説「深夜特急」をご存知でしょうか。

旅行・紀行本の金字塔的存在で、旅が好きな人なら一度は読んだことがある、もしくは聞いたことがある方も多いと思います。

深夜特急はどんな話?

深夜特急は、インドのデリーからイギリスのロンドンまでを、バスだけを使って一人旅をするという目的で日本を飛び出した主人公「私」の物語。

現実離れした無謀な挑戦にも思えるのですが、実はこの「私」というのは作者である沢木耕太郎自身のことで、実体験を元に描かれた紀行小説なのです。

さくさくと読みやすい内容なので、ハラハラドキドキしながらまるで自分も一緒に旅をしているかのような気分で読み進めて行くことができる作品なんです。

深夜特急の魅力

26歳という年齢

主人公の「私」は26歳の時に仕事を全て投げ捨てて旅に出ます。

長旅に出るのなら大学生くらいの20歳前後がいいのでは?とも思いますが、この26歳というのは、後に作者の沢木氏は旅の適齢期だと語っています。

なぜ適齢期なのかと言うと、経験と未経験のバランスが取れた年齢だから。

確かにある程度の社会経験を積んでから(お金を稼いだり、自分の力で生活することを経験してから)旅をすることで、現地の人々の暮らしを見てより多くのものを感じとることができる部分もありそうですよね。

私自身、学生時代に貧乏旅行をたくさん経験してかなりの刺激を受けたのですが、社会人になってから行った旅はより一層深みを増すようになりました。

26歳と言う年齢は、子供すぎず、大人すぎず、旅にどっぷりと浸かることができるので、適齢期というのも納得です。

ネット社会では味わえない体験

物語の時代は1970年代。主人公「私」はインターネットなんて使わずに、さらには地図やガイドブックさえ持たずに自分の足だけで歩いて旅をします。

宿の掲示板を利用したり、現地の旅人などから情報収集をしながら、独自のルートで旅を進めていくのです。

時には情報が足りずに失敗することもあるのですが、そこからまた新たな出会いがあり、気づきや発見を繰り返す主人公。

良くも悪くも、便利なネット社会では味わえない体験をたくさんします。

スマホでなんでもすぐに調べられたり、いつでも誰かと繋がれる今の時代だからこそ、この不便さが読んでいて心地いいとも感じます。

リアルな描写

沢木氏は周りを観察する洞察力とさらにそれを表現する文章力が秀逸で、小説からは旅の熱気と興奮がそのまま伝わってきます。

例えば香港のカジノにどっぷりハマってしまい、お金を次々とかけていく様は臨場感があり読んでいるこちらまでハラハラ。

インドでは生と死に触れ、喜怒哀楽の混沌とした様子に悩んだり。

人との出会いや出来事、その国の文化に触れた何気ない些細な様子が細かく描かれているので、まるで自分もその場にいるかのような気分を味わうことができます。

プロセスを楽しむ旅

「深夜特急」というタイトルですが、主人公は驚くほどほとんど列車を利用しません。

とにかく自分の足で歩き回ったり、居心地のいい滞在先を見つけると長期間居座ってみたり…。

沢木氏にとっての旅とは、いつどこに行くか、何が目的かではなく、どこかに行くまでの過程そのものが旅なのだということがよく伝わってきます。

結果的に目的地にたどり着けなかったとしてもそれはそれでオッケー。むしろ沢木氏にとってはたぶん「いいネタになった」くらいの感覚です。

思いもよらないことに対処していくことで少しずつ経験値が上がり、次第に主人公の「旅する力」が増していく様子が読んでいてとても惹きつけらます。

「恐れずに、しかし気をつけて。」

沢木は「深夜特急」のあとがきで、これから旅をしようと思う若者へのエールとしてメッセージを記しています。

もしこの本を読んで旅に出たくなった人がいたら、そう、私も友情をもってささやかな挨拶を贈りたい。「恐れずに、しかし、気をつけて」

躊躇せずに思い切って旅に出る背中を押してくれるとてもいいメッセージだと思います。

ところが2020年以降、瞬く間にコロナウイルスが広がり旅をすることが簡単ではなくなってしまった昨今。

最近の沢木氏はこう語っています。

今、僕が感じているのは逆です。注意深くある必要はあっても、そんなに恐れる必要はないんじゃないかな。

今ならこう書きますね。「気をつけて、しかし恐れずに」

ラジオ「J-WAVE SPECIAL SESSIONS 沢木耕太郎、人を語る。」より

こちらも沢木さんらしい、とてもいいメッセージですね。

旅人のバイブルであっても、ガイドブックではない

深夜特急は旅人のバイブルなどとよく表現されていたりしますが、あくまでも「小説」であって「ガイドブック」ではありません。

観光名所や名物料理に焦点を当てているのではなく、その土地の人々とのコミュニケーションを中心に描かれていて、旅好きな人もそうでない人も楽しめる作品だと思います。

コロナ禍の今の時代だからこそ、小説で世界を巡る旅をしてみてはいかがでしょうか。


 

ドラマ版もとても面白いのでまた機会があればご紹介してみたいと思います。


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